日本オーストリア友好150年に寄せて



                                         
 木々の若葉に生命のいぶきを感じる頃となりました。お変わりなくお過ごしでしょうか。
昨秋の演奏活動30年記念リサイタルの際に皆様から頂いた励ましのお言葉は、次に進む大きなエネルギーとなりました。お陰をもちまして、前回から10か月という、私にとって例のない早いペースでこの度リサイタル開催の運びとなりました。

 今年は日本とオーストリアが正式に外交を開始して150年に当たります。オーストリアの中でも特に想い入れのあるウィーン生まれの歌曲と、まとまって歌うのが実に10年ぶりとなる日本の歌でプログラムを組みました。
 19世紀末ウィーン。芸術家たちのミューズ的存在であったアルマ。華々しい交友関係で知られる魅惑的な女性です。彼女に心奪われた男性の一人が作曲の師・ツェムリンスキー。そして彼女が結婚相手に選んだのは19歳年上のグスタフ・マーラー。この三人の関係図を音で描こうというのが今回のウィーンの歌のコンセプトです。
 一方、日本の歌は北原白秋がテーマです。昨年は童謡百年と言われる年でした。児童雑誌「赤い鳥」で『童謡』という言葉が使われ、それが世に広まってから100年の時が流れました。赤い鳥の中心人物・北原白秋の数ある詩の中から童謡とそれ以外のものを合わせてお贈りします。
歌曲として親しまれている「からたちの花」のピアノ・ソロ版もご期待ください。

 ピアニストはベルリンと日本を往復してご活躍の松山優香さんです。松山さんとは以前一度お会いしていましたが、昨年、改めてご縁がつながりました。ご一緒できることに大きな喜びを感じます。

 会場のフリューゲル・ザールは開館25年目に入りました。現在、屋根などのリニューアルを行なっております。リサイタル当日にはお色直しが完了した姿で皆様をお迎えいたします。お誘い合せの上お出かけ頂ければ、こんな幸せなことはございません。
心よりお待ち申し上げます。
令和元年 五月

                            


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