ヴォルフ《イタリア歌曲集》を歌う


 寒さの中にも街が華やぐ頃となりました。お変わりなくお過ごしでしょうか。
さて、新年1月18日に別紙チラシの通り、フーゴー・ヴォルフ作曲「イタリア歌曲集」の全曲演奏会を行なうこととなりましたのでご案内申し上げます。

 この曲は、歌詞はドイツ語ですが原詩はイタリア語で、他のドイツ歌曲とは違った趣があります。いわば46人の男女の恋の物語を二人の歌い手と一人のピアニストが表現する作品です。そこには聖と俗、けんかと和解、高慢と謙虚、讃美と皮肉…。恋愛のあらゆる場面、人間のあらゆる感情が渦巻いています。ですが、どんなに辛辣な皮肉もせいぜい2ページ、時間にして2分足らずで終わってしまうところが、この曲集をチャーミングにしていると私は感じます。

 46曲を歌い分けるお相手はバリトンの太田直樹さんです。太田さんは東京芸術大学大学院を修了後、シュトゥットガルト音楽大学で研鑽を積まれました。今回が初共演です。そしてヴォルフの歌曲でとても重要な役割を担うピアニストは竹尾真紀子さんです。竹尾さんは、ドイツ歌曲のピアニストとして世界最高の一人ハルトムート・ヘル氏の高弟で、現在スイス在住です。竹尾さんとは以前、ヴォルフ歌曲のコンサート・シリーズを行なった時からのご縁です。

 30年ほど前、この曲に出会った時、私はたちまち魅了されてしまい、以降、コンサートを企画する際、常に頭の片隅にこの曲があった、と言っても過言ではありません。永年の想いが叶って、こうして全曲演奏会のご案内ができることは、この上ない喜びです。そして、このような機会は私にとって後にも先にもない唯一のものと思われます。ぜひお聴きいただきたく、ご来場を心よりお待ち申し上げます。

2013年12月


プロフィールにかえて これまでのメッセージ
HOME

メールでのお問い合わせ、ご意見などはこちらまで
e-mail:kiuchitomoko☆jcom.zaq.ne.jp
※「☆」記号を「@」に置き換えてください。

copy right(c) 2001-Tomoko Kiuchi all rights reserved